「before_change_value_of/after_change_value_of」を実行することで要素の値が変更される直前/直後の処理を実施することが出来ます。
イベント処理をするためにまず初めにすることは、イベント捕捉クラスを定義することです。ここで、イベント捕捉クラスをMyListenerクラスと命名します。MyListenerクラスは、AbstractEventListenerクラスを継承して作成されたサブクラスです。AbstractEventListenerクラスの関数はダミー実装がされているためMyListenerクラスでイベントに対応した各関数をオーバーライドする必要があります。ここでは、「before_change_value_of/after_change_value_of」の関数の内容をオーバーライドしています。
それでは、実際にイベント発生させていきます。イベントを発生させる前に、イベント発生クラスである「EventFiringWebDriver」コンストラクタの第1引数にWebDriverのインスタンス、第2引数にイベント捕捉クラスのインスタンスを指定して、イベント発生クラスのインスタンスを作成していきます。そしてそのインスタンスに対して、ページ遷移(GoogleTopページ)をした後、検索テキストボックスの要素を取得しています。
この段階では、「before_change_value_of/after_change_value_of」の関数が自動で呼び出される条件は満たしていません。これらの関数が自動で呼び出されるトリガーとなる操作(イベントが発生する操作)は、キー入力またはキー入力された値がクリアされた時です。そのため、「Test finished!!!」とキー入力されたときに初めてイベントが発生し、キー入力前後の検索テキストボックスの入力値がコンソール出力されます。
※イベント処理についてはこちら
説明
◆メソッド ・before_change_value_of(self,element, driver) ・after_change_value_of(self,element, driver) ◆使用形態 ・上記メソッドはあらかじめAbstractEventListenerクラスを継承して オーバーライドしておく。 ◆備考 ・このイベントはsend_keys(),clear()メソッドの実行にて発生する。 ◆関連項目 ・ブラウザの『戻る』または『進む』に対して直前/直後の処理を実施する ・URLが遷移する直前/直後の処理を実施する
サンプル
from selenium import webdriver from selenium.webdriver.chrome import service from selenium.webdriver.common.by import By from selenium.webdriver.support.event_firing_webdriver import EventFiringWebDriver from sub_abstract import MyListener #ChromeDriverのパスを変数に設定 CHROMEDRIVER = "D:\driver\chromedriver.exe" #ChromeDriverのstartとstopを制御するServiceオブジェクトを介してパスを渡す chrome_service = service.Service(executable_path=CHROMEDRIVER) #Chromeを起動 driver = webdriver.Chrome(service=chrome_service) #イベント発生クラスの引数に以下を指定する #第1引数:WebDriverのインスタンス #第2引数:イベント捕捉クラスのインスタンス efw_driver = EventFiringWebDriver(driver, MyListener()) #指定したURLに遷移する efw_driver.get("https://www.google.co.jp") #Googleの検索テキストボックスの要素をname属性名から取得 element = efw_driver.find_element(By.NAME, "q") #検索テキストボックスにキー入力する element.send_keys("Test finished!!")
from selenium.webdriver.support.abstract_event_listener import AbstractEventListener 「sub_abstract.py」でイベント捕捉クラス(MyListenerクラス)を定義する #MyListenerクラスはAbstractEventListenerクラスのサブクラス #AbstractEventListenerクラスでは関数がダミー実装されており、MyListenerクラスで関数をオーバーライドしていく #ここではMyListenerというクラス名をつけているが、開発者がつけていく class MyListener(AbstractEventListener): def before_change_value_of(self, element, driver): #キー入力直前の検索テキストボックスの値をコンソール出力 print("before_change_value_of:" + element.get_attribute("value")) def after_change_value_of(self, element, driver): #キー入力直後の検索テキストボックスの値をコンソール出力 print("after_change_value_of:" + element.get_attribute("value"))
実行結果
before_change_value_of: after_change_value_of:Test finished!!